掌蹠膿疱症は膿疱などが手のひらや足の裏にできる皮膚の病気ですが、歯周病などの病巣や歯科用金属によるアレルギーとも深い関係があります。
この病気の特徴と皮膚科や歯科で行われる治療について解説します。
掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症はうみ(膿疱)が手のひらや足の裏に、繰り返し左右対称でできる皮膚病になります。
こうした膿疱に加えて、皮膚に鱗屑と呼ばれるカサカサと乾燥したフケのようなものが生じたり、赤い斑点(紅斑)が現れたりします。
掌蹠膿疱症の症状
最初の段階では透明な小水疱や黄色い小膿疱が形成されます。徐々にこれが茶色く濁っていくと、やがてかさぶたになります。
このかさぶたはしばらくすると通常通り剥がれ落ちますが、古い膿疱がなくなると再びすぐに新たな膿疱が現れるというように繰り返されて、炎症反応などが引き起こされます。
小水疱(みずぶくれ)、小膿疱(うみ)
小水疱や小膿疱ができます。大きさはおよそ1〜5mmです
炎症
炎症反応が小水疱や小膿疱の周囲で生じます。
かゆみ
膿疱が発生した患部でかゆみが感じられるケースもあります。
爪の変形・にごり
爪に変形や濁りが現れるケースがあります。
掌蹠膿疱症の原因
明確な原因については現在のところ判明していません。
しかし、扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎、中耳炎などの病巣感染のほか、歯科金属などによる金属アレルギーの影響によって引き起こされていることがあります。
掌蹠膿疱症の一般的な治療
掌蹠膿庖症の治療では、塗り薬による治療を基本に始めていきます。
そうした外用剤で症状を緩和させると同時に、検査で感染病巣がないかを探ります。扁桃腺炎が見つかった場合、扁桃腺を摘出すると皮膚の症状が改善されることがあります。
同様に虫歯や中耳炎、副鼻腔炎などがある場合は、それらの治療を行うことで皮膚の症状が治癒することもあります。
ステロイド外用剤
多くの場合で第一選択薬として選定され、最初に投与される外用剤です。皮膚の炎症を抑える効果が期待できます。
一方で、長期的な使用による副作用には注意が必要です。
ビタミンD3外用薬
ステロイドと併用して使用することが多い皮膚角化症治療薬です。
ステロイドと比較すると効果は穏やかですが、長期使用による副作用はほとんどありません。
PUVA療法
ソラレンという光を吸収するお薬を患部に塗ってUVAを照射します。
数十年以上前から行われている治療法で、皮膚に日焼けを起こして症状改善を図ります。
ナローバンドUVB療法
PUVA療法に代わる紫外線療法のひとつです。
強い日焼けや発がんなどにつながる皮膚へのダメージを抑え、治療に効果的な波長の紫外線、UVB中の311nmの波長の紫外線だけを照射します。
エキシマライト
ナローバンドUVBの100倍以上の出力で、UVB中の308nmの波長の紫外線を照射することが可能なエキシマライトによる治療は、
ナローバンドUVBをさらに進化させた治療法と言えます。
しかし、いずれの紫外線治療も1回だけでは大きな効果は期待できません。週1〜2回のペースで、繰り返し照射することが大切になります。
掌蹠膿疱症の歯科治療
都内のある病院の調査では、掌蹠膿庖症患者の実に6割以上の方で、歯周病などの歯の病巣や歯科金属による金属アレルギーが一因になっていたと報告されています。
さらに男性患者の7割以上、女性患者の9割以上が喫煙者だったというデータもあることから、喫煙習慣と何らかの関係があることも疑われています。
掌蹠膿庖症の診断は皮膚科で下されますが、皮膚科の治療だけではなかなか完治しにくい病気です。一般的に完治まで3~7年かかると言われています。
しかし、歯科金属を除去してから、わずか3週間~3か月ほどで症状の改善が見られるといったケースも存在します。
掌蹠膿疱症と皮膚科で診断されている方はもちろん、まだ受診されていない方でも思い当たる症状がありお悩みの方は、お口の中を一度検査する必要があるかもしれません。ぜひ一度当院へご来院ください。